移動平均線クロスは本当にサインとなるか?(結果編)


2009年5月14日



 

移動平均線クロスは本当にサインとなるか?の結果です。

 

移動平均線のゴールデンクロス・デッドクロスで売買を行った場合、実際に世間一般的に言われているように利益を得ることが可能なのかどうか?を検証しました。

検証の方法や解析内容については下記をご参照ください。

 

 

検証内容を見る・・・ 

 

 

移動平均線クロスは本当にサインとなるか?の結果

 

 

検証内容1~4の結果。

 

一気に①~④のパターンを見て行きましょう。
以下の表は、銘柄別に検証した各項目をパターン毎に単純に平均した値です。

 

  3日-9日 9日-25日 5日-25日 25日-75日
総トレード回数 183.27回 66.22回 78.29回 20.12回
勝トレード数 63.04回 23.34回 25.21回 7.32回
負トレード数 111.32回 40.37回 49.99回 12.03回
トータル損益 -1992.47円 -81.63円 -725.82円 -5.99円
1トレード当平均損益 -10.71円 -0.67円 -8.17円 3.07円
保有日数 1349.56日 1329.92日 1332.12日 1312.32日
1回当最大利益 713.38円 911.97円 948.14円 870.37円
1回当最大損失 -361.47円 -481.30円 -465.80円 -467.95円
勝率 36.19% 36.82% 33.77% 38.45%
損益比 1.57 1.84 1.97 1.97
最大連勝数 4.91回 3.87回 3.71回 2.71回
最大連敗数 10.28回 7.56回 8.70回 5.23回

 

 

検証方法に記している通り、銘柄数は約1200銘柄、期間が約10年です。

 

単純な平均ですので、例えば移動平均線3日と移動平均線9日でGクロスとDクロスでの売買検証を行った結果、総トレード回数は平均183.27回、ひと銘柄毎のトータル損益は平均-1992.47円になるということです。

 

 

 

もちろん、中にはトータル損益がプラスになる銘柄もありましたが、上の表ではそれはわかりにくくなっています。

前頁の表を違う視点から見てみましょう。

 

 

 

検証結果の勝率集計

 

  3日-9日 9日-25日 5日-25日 25日-75日
トータル損益プラスの銘柄数 363 657 567 687
トータル損益プラスの銘柄割合 28.14% 50.93% 43.95% 53.26%
勝率50%以上の銘柄数 0 6 2 124
勝率50%以上の銘柄割合 0.00% 0.47% 0.16% 9.61%
(標本数1290)

 

 

上の図は標本数1290銘柄のうち、それぞれのパターンでトータル損益がプラスになった銘柄の数及び、その全銘柄数に対する割合、また、勝率が50%以上の銘柄数とその全銘柄に対する割合をまとめたものです。

 

 

さて、ここまで二つの表を見てきました。

 

これまででわかったことは、いずれの場合もそれほど良い売買指標とはいえないということではないでしょうか?

 

どのパターンでも、全銘柄の平均を見ると、トータル損益はマイナスとなっています。それぞれのパターンにおけるトータル損益プラスの銘柄数を見ても、一番多い25日と75日のパターンでもその割合は53%です。

 

標本数が1290銘柄ですので、表中にあるように、トータル損益プラスの銘柄数は687銘柄ですから、トータル損益がマイナスになった銘柄数は603銘柄です。これでは良い指標とはいえないのではないでしょうか?

 

その他のパターンにおいても、大差ないことを読む取ることが出来ると思います。

 

 

 

ゴールデンクロス、デッドクロスの単純売買検証の考察。

 

なぜ、Gクロス・Dクロスととても一般的な売買指標であるにもかかわらず、このような結果になったかを考えてみました。
まず、一番大きな原因は、おおきなトレンドの方向にかかわらず売買を行ったことではないでしょうか?

 

パソコン上で機械的に計算を行っているため、人間の感情を一切無視して売買検証を行えましたが、“トレンド”を全く見ず、Gクロス・Dクロスだけでの売買検証のため、たとえどんなに下降トレンドであろうと、どんなに暴落の場面であろうともGクロスが出ると買い、Dクロスで売るということを繰り返しているので、マイナスが大きくなったことは否定できません。

 

次に上げられる原因として、Gクロス・Dクロスに“ダマシ”が存在することではないでしょうか?これは同時に、移動平均線のGクロス・Dクロスに不要なサインが出ることを意味しています。

 

今回このような検証結果になったことを考慮すると、移動平均線だけを用いた売買では、Gクロス・Dクロスの“だまし”を回避し、トレンドを見て売買を行わないと、(たとえそれを行ったとしても)かなりハイリスクではないかと考えます。

 

以上、移動平均線のGクロス・Dクロスについて売買検証を行った結果をつらつらと述べてきました。

 

まだ結果の報告としては不十分なところ、また、検証方法・パターン数・検証項目等に不十分なところが多々あったと思いますが、いずれもっと突っ込んだ検証も行ってみようと思います。

 

 

 

 

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