トレンドフォロー戦略において、利益を最大化し損失を最小化するために、トレーダーや投資家はさまざまなテクニカルツールを利用しています。
その中でも重要なツールの一つがATRトレイリングストップです。
本記事では、ATRトレイリングストップの意味と利食いポイントの設定方法について、より詳しく解説していきます。
ATRトレイリングストップの意味と利食いポイントの設定。計算式と活用方法。
ATR(Average True Range)とは何か?
Average True Rangeの略であるATRは、価格の変動の幅を測定するためのテクニカル指標です。
一定期間の価格の最高値と最安値の差、および前日終値との差から算出されます。
これにより、価格のボラティリティや変動幅を示す指標となります。
トレーダーがリスク管理やストップレベルの設定に役立つ重要な指標です。
ATRトレイリングストップの意味と働き
価格のトレンドに追従しながら、損失を制限し利益を確保するためのツールとして、ATRトレイリングストップは有用とされます。
従来の固定のストップレベルとは異なり、ATRトレイリングストップはトレンドの動向に応じてストップレベルを調整します。
価格がトレンド方向に一定の幅以上動いた場合、ストップレベルをトレンドに追従させることで、損失を最小限に抑える役割を果たします。
ATRトレイリングストップの計算方法
この指標の計算方法は以下の通りです。
ATRの計算
ATRは一定期間の価格の変動幅を測定するため、まずATRを計算します。以下がATRの計算式です。
ATR = (前日のATR × (期間 – 1) + 当日のTrue Range) / 期間
True Range(TR)は以下の3つの値のうち、最大の値となります。
- – 当日の高値 – 当日の安値
- – 当日の高値 – 前日の終値の絶対値
- – 当日の安値 – 前日の終値の絶対値
ATRトレイリングストップの計算
ATRトレイリングストップは、ATRの値に一定の倍率をかけた値をトレイリングストップとします。
以下が一般的な計算式です。
ATRトレイリングストップ = 当日の価格 – ATR × 倍率
利食いポイントの設定
ATRトレイリングストップは、利食いポイントの設定にも役立ちます。
利食いポイントは、価格の上昇や下降が一時的に停止し、逆方向に転換するポイントです。
利食いポイントの設定には以下の方法があります。
- トレンドの弱まりを確認: 価格がトレンドラインや重要なサポート・レジスタンスラインに接近する場合、トレンドが一時的に弱まる可能性があります。このようなポイントで利益確定を検討します。
- ATRトレイリングストップの到達: 価格がATRトレイリングストップに接触した場合、利益確定を行います。ATRトレイリングストップは、トレンドの変動幅に合わせて調整されるため、価格がトレンドの強弱に応じて上下するポイントとなります。
尚、ATRトレイリングストップを利用する場合、前日のATRトレイリングストップを当日にオフセットして使用します。
上のチャートの青い線(ATRチャンネルのトレイリングストップ=当日の価格 – ATR × 倍率)は2日分オフセットされています。
その青線を損切ラインとして活用できます。(買いの場合)
仕掛けのタイミングは任意ですが、青い線に触れた場所(赤丸部分)が損切(または利確)とするポイントです。
まとめ
ATRトレイリングストップは、トレンドフォロー戦略において有用なツールです。
ATRを計算し、トレンドに追従しながらストップレベルを調整することで、損失を最小限に抑えつつ利益を最大化することが可能です。
また、利食いポイントの設定にもATRトレイリングストップが役立ちます。
ただし、ATRトレイリングストップの倍率や利食いポイントの設定は、トレーダーの個別の戦略やリスク許容度に合わせて慎重に行う必要があります。
トレーダーは、リスク管理と利益確定のバランスを考慮しながら、ATRトレイリングストップを効果的に活用しましょう。
(外部リンク)テクニカル指標(Wikipedia)