ギャップ埋め完了で仕掛けと手仕舞い (チャート力向上講座デイトレ編)
チャート力向上講座も最後の項となりました。
最後は、デイトレ編の4つの戦術の4つ目、「ギャップ埋め」についてです。
この方法は、これまでの高値抜け、移動平均線ゴールデンクロス、VWAP抜けよりも、少々判断が難しい内容ですが、これまで学んできた3つの技を併用することで、または、これまでの3つの技を補うための技術といえます。
ギャップ
まずは、ギャップについてですが、ギャップと言ったり、窓と言ったり、空といったりもします。
デイトレの場合、前場や後場の寄り付きは、直前の値から大きく乖離して始まることがありますが、その時にロウソク足の存在しない空間が出来ますが、その空間のことを指します。(下図)
このギャップ、その後ロウソク足で埋める傾向にあるのですが、ギャップを埋めに行ったロウソク足が埋めるのを完了、若しくは中止して上昇に転じた場所を狙って買仕掛けを行ないます。
ギャップ埋め完了での仕掛け
例えば、前頁で掲載のチャートでは、5月13日(チャート後半)の寄り付きが前日の終値よりも大きく乖離し、ギャップを発生して始めています。
その後、一度上昇した物の、ギャップを埋めに向かい、埋める途中で再度上昇に向かっているのがお分かりいただけるかと思います。
ギャップ埋め完了や中止を確認したあと仕掛けを行ないます。
但し、前述の通り判断が難しいので、その後のゴールデンクロスやVWAP抜けと併せて判断します。
次の例は、5631日本製鋼所の08年5月12日~13日の5分足チャートです。
13日の寄り付きが前日からギャップを伴って寄り付いたあと、ギャップを埋めに向かっています。
その後、ギャップを埋めた直後に大きな上げを見せ、上昇に転じています。この大きな上げの場所で仕掛けることになります。
しかし、実際のチャートは、上がるかどうかわからない時点で仕掛けを行なわなくてはなりません(下図)
ギャップを埋めたことと、その後上昇したことは確認できますが、この後はわかりません。
そこで、直前にゴールデンクロスがあること、VWAPが目前であることなどを考慮します。
次の例は同じ5631日本製鋼所の5月1日~2日のチャートです。
この場合も、2日寄り付きでギャップを伴って始まり、その後ギャップを埋めに行きました。前日引け前の陰線の頭まで下げたあと、上昇に転じています。
この場合も、ゴールデンクロスがあり、埋めたあとのVWAP抜けで判断可能です。(下図)
ギャップ埋め完了での仕掛けの場合の損切り・手仕舞い
最後に、損切り・手仕舞いについてですが、これまでの3つと同様、MA5下抜けで手仕舞いとします。
それに加えて、今回はギャップ発生時の高値で利益確定という要素も追加します。これは、その後「ポジションを持っていればより多くの利益を得られた」という場合もありますが、先のチャートはわかりませんので、安全を考えた場合の手仕舞いポイントとなります。
下のチャートは6767ミツミ電機の4月22日~23日のチャートです。
23日の寄り付きにギャップを伴い始まったあと、ギャップを埋めに向かっています。
その後、上昇に転じVWAP抜けで仕掛け、その後のギャップ発生直後の高値抜けで利益確定、若しくは、更にポジションを保有しMA5の下抜けで手仕舞いとなります。
次は、ギャップ埋め後の上昇で仕掛けたあと、損切りとなるケースです。
上のチャートは08年3月31日~4月1日の8403住友信託のチャートです。
4月1日にギャップを伴って寄り付き後、直後に埋めてしまいます。埋めたあと上昇に転じるので、そこで仕掛けとなりますが、仕掛けた直後にMA5を下回ってしまいます。
ギャップを埋めたあと、VWAPの上抜けもありますし、寄り付き時にゴールデンクロスもありますので仕掛けると判断できますが、直後にMA5を下回ったところで、判断が間違っていたことになります。
上のチャートでは、その後も掲載していますので「持っていれば利益となる」のですが、仕掛けた時点、MA5を下回った時点ではその後はわかりませんので、ここで損切りします。
判断が間違っていたのですから、機械的に切ってしまいます。
その後の上昇に関しては、直前高値抜けでも仕掛けることが出来ますし、再度のVWAP抜けでも可能です。
チャート力向上講座はここまでで終了です。
日足編が4章10講座、デイトレ編は章分けなしで4講座の全14講座を解説してきましたが、いかがでしたか。
各講座、多くの画像を交えて解説してきましたが、この講座がスキルアップに少しでも役に立てば幸いです。