VWAP上抜けでの仕掛けと手仕舞い (チャート力向上講座デイトレ編)
この項では、デイトレ編の4講座の3つ目、VWAP上抜けでの仕掛けと手仕舞いについて掲載しています。
前項で学んだ移動平均線との併用についても言及しています。
VWAPは出来高加重移動平均線と呼ばれるもので、あるレートでどれくらいの約定があったかを表す指標です。
VWAPについての詳細は割愛しています。
VWAP上抜けでの仕掛け
VWAPの上抜けでの仕掛けを考えます。
通常、株価はVWAPに寄る性質がありますが、その反面、VWAPを抜けると(上にも下にも)その方向に一定量動く特性があります。
その特性を利用して、VWAPを上抜けたところで仕掛ける方法ですが、VWAPは毎日の連続ではなく、寄り付きから大引けまでの連続となり、その日その日で始まりが異なります。
そのため、寄り付きでの仕掛けなどは無く、日中VWAPを基準に株価がどう動いたかを見た上で、上抜けした場合に仕掛けます。
例えば、上記08/04/23~08/04/24アサヒビールのチャートをご覧下さい。
赤いラインがVWAPとなり、24日寄り付きの赤丸部分でVWAPを超えていますが、この場所は前日の終値からギャップを生じて上昇したためにVWAPが大きく動いている部分です。
この場所では、前日の終値時点のVWAPよりも、24日の始値が上昇して始まっているために、VWAPの上抜けは当然の結果となります。
このような場所ではなく、下図同期間2914日本たばこ産業(JT)のチャートの様に、日中(ザラ場)レートが動くなかでVWAPを上抜けした場所を売買ポイントとします。
上のチャートの2個目(右側)の赤丸は、寄り付き直後ですが、寄り付きは前日よりもギャップを伴って上昇したものの、寄り付きから数十分後にVWAP上抜けとなっているため、売買ポイントとなります。
同じように、他の例も見てみましょう。
下図は3401帝人の5月2日~5月7日(ゴールデンウィークを挟んだ2日間)の5分足チャートです。
赤丸で囲んだ場所が買ポイントとなります。
7日の寄り付き直後は、寄り付きからVWAP上を行ったり来たりしていたレートが上に離れたので、買いポイントと見ています。
2つ目の後場の赤丸は思いっきり上抜けした場所です。
VWAP上抜けとゴールデンクロスの併用
VWAP抜けの場合は、陽線で抜けた場合、直前にゴールデンクロスがある場合などの条件を加え、より確実な買いポイントとすることも可能です。
次の例は、上記移動平均線のゴールデンクロスや陽線抜けも含めた、4005住友化学08/05/12~08/05/13の5分足チャートです。
a~dの4つのポイントを図示してみました。
いずれもVWAPの上抜けをしていますが、先述のゴールデンクロスや陽線を考慮すると、どのポイントで仕掛けるかがお分かりいただけると思います。
まず、aはゴールデンクロスの発生の直前です。
この場合、VWAP上抜けが発生した時点ではゴールデンクロスは発生していませんし、発生するかどうかもわからないのでスルー。
その後bの場所では、aの直後にクロスの発生もあり、VWAPで反発したと取ることも出来ます。仕掛けることは出来ますが、前場の終了間際ですので、昼休みを挟んでのギャップ発生の可能性を考えると、尻込みもありえます。
結果としては、後場は大きくギャップを開け始まっているので、後場の寄り付きで仕掛けるのもありです。
cの場所に関しては、直前にクロスも無く、移動平均線も下降をたどっているのでスルー、dではクロスの発生もあり、陽線で勢い良く上抜けですので買いポイントと見ます。
VWAP上抜けの損切り・手仕舞い
VWAP上抜けで仕掛けたポジションの損切りと手仕舞いについてです。
これまで通り、MA5を下回ったら損切り・手仕舞いで問題ないかと思います。
下図、4183三井化学08/05/12~08/05/13のチャートでは下記の様に手仕舞いできます。
下図4506大日本住友製薬では損切りの例も掲載します。
2回目の仕掛け後、すぐにVWAPを下回り、MA5よりもレートが下がってしまったため、損切りです。
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