移動平均線クロスでの仕掛けと手仕舞い (チャート力向上講座デイトレ編)
前項からデイトレ編に入り、全4項のうちの最初の一つ、高値抜けでの売買について掲載しました。
この項では、2個目の「移動平均線クロスでの仕掛けと手仕舞い」について掲載しています。
デイトレですので、実務ではじっくり考えている暇はありませんので、シンプルに、且つダマシを回避しつつの判断ができる「移動平均線クロス」を掲載しています。
移動平均線クロス
移動平均線のクロスでの仕掛けを考えます。下図は1928積水ハウスの08年5月30日(金)~6月2日(月)の5分足チャートです。
青い線が5本移動平均線、黄色い線が15本移動平均線、赤い線がVWAPとなっています。
移動平均線のクロスでの仕掛けですので、上のチャートでもいくつかポイントが見つけられるかと思います。(下図)
上記チャートの赤丸が移動平均線のゴールデンクロス発生地点です。
しかし、この状態では売買ポイントとしてはダマシが多く、またクロスは実際のレートの上昇よりも遅れて発生します。
クロスが発生した時点では既にレートは上がりきっていて、その時点で仕掛けても損切りとなる場合が多く、実践ではそのまま使用することは難しい状況です。
そこで、ダマシの回避とより大きな利益を安全に得れる様にクロスにいくつかの条件を追加します。
まず一つ目の条件は、直前に“下げ止まり”があること。
“下げ止まり”は大きく下げた場面の谷の底と定義し、例えばボックス相場での下値は除外します。
上のチャートで言うと、下図赤いラインが下げ止まりです。
5月30日(上記チャート前半部分)の寄り付きから前場に掛けての下げもボックス相場の始まりですので、下げ止まりと判断できますが、それはこれから説明するもうひとつの条件によって回避できます。
次の条件は、下げ止まりから直前高値までの距離があることです。
直前高値は前項で解説したとおりですのでココでは説明を省きますが、例えば上記チャートの場合は、下図の様になります。
チャート前半部分の5月30日寄り付きから前場にかけての下げでは、直前高値までの距離が一番遠い直前高値までを見ても短いことがわかります。
これら2つの条件を使い、ゴールデンクロスの取捨選択を行ないます。
この章の最初に使用したゴールデンクロスを赤丸で囲んだチャートを再度見ると、どのゴールデンクロスが取れて、どのゴールデンクロスが取れないかがお分かりいただけるかと思います。
この場合は2重丸となっている6月2日前場のゴールデンクロスのみかと思います。
6月2日の最後のクロスも、その後大引けに掛けて上昇していますので、後から見れば魅力的ではありますが、クロスが発生した時点で、その後上昇するか下降するかはわかりません。
そのため、直前の下げ止まりと、直前高値までの距離から、下げ止まりが直前には無いこと(あっても大きな下げの後ではないこと)と、直前高値までの距離が短いことで除外となります。
ゴールデンクロスの取捨選択の例
下記にいくつか例を挙げますので、クロスの取捨選択を行なってください。(赤丸はゴールデンクロスの場所です。)
注目する地点は、大きな下げの後の下げ止まりと、その下げ止まりから直前高値までの距離です。
ゴールデンクロス発生の前に注目され、上記条件を満たすものだけを拾ってください。
まず、左から順に、最初のクロスは前に大きな下げがありますし、下げ止まりから直前高値までの距離も十分かと思います。
その次のクロスも距離はありますので、仕掛けと判断できます。
最後のクロスは、それほど距離が無く、大きな下げの後ではないためスルーと判断できます。
次の例です。
このチャートですが、「最後のクロスだけかなぁ~」と思えますが、それはその後のチャートが見えているからで、真ん中のクロス以外の二つは拾うことになります。
最初のチャートは直前に大きな下げがあり、下げ止まりも確認でき、下げ止まりから直前高値までの距離もまずまずです。
真ん中のクロスは直前高値までの距離が無いのでスルー出来、最後のクロスは下げ止まりと直前高値までの距離も確認できます。
最初のクロスは損じゃないか!といわれるかもしれませんが、実際の相場では下図の状態で判断をしなくてはなりません。
この状態で移動平均線のクロスの発生を考えると、拾うに値するクロスと言えるため、買いとなります。
勿論、その後のチャートを見ると、実際は下がっていますので損切りとなります。
では、その損切りと手仕舞いについて。
移動平均線クロスの損切りと手仕舞い
損切りと手仕舞いについてです。
損切りと手仕舞いは直前高値抜けでの仕掛けと同様に、5本の移動平均線にかかったら損切り・手仕舞いとします。
ゴールデンクロスの仕掛けの最後の例(下図)で言うと、先述の2つのクロスで仕掛けたとして、下図赤丸部分が損切り・手仕舞いとなります。
もう一つ、VWAPの下抜けでの手仕舞い・損切りという方法もありますが、この場合、利益確定は利益が小さくなり、損切りは損が大きくなるというデメリットがあります。
但し、こちらの損切りを採用した場合は、上記の例ですと、最初の仕掛けが発生しなくなります。(仕掛け地点がVWAPより小さいため)
その意味から、良いとこ取りで、仕掛けはVWAP以上であること、手仕舞いは5MAの下抜けという条件も成り立ちます。
しかし、大きな下げの後の下げ止まりの確認は行なわなくてはなりませんので、仕掛けの際にレートがVWAPより上であるという条件は、その分大きな下げの後のチャンスを捨ててしまうことになりかねません。
次の講座:VWAP上抜けでの仕掛けと手仕舞い
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