大陽線・大陰線の出現とその後の株価の推移(2) 出現後に株価は上がるのか下がるのか?


2009年5月7日



 

大陽線・大陰線の出現とその後の株価の推移(2)

 

『一般的に高値圏や安値圏での大陽線・大陰線の出現はその後の株価の推移を暗示している』とか、『安値圏での大陽線の出現は大底の確認で、その後株価は上昇する』など言われることが多いが、実際のところどうなの?

を調べた結果です。

 

検証方法、検証内容、集計方法などの詳細は下記の通り。

大陽線・大陰線の出現とその後の株価の推移(1) 出現後に株価は上がるのか下がるのか?

 

 

 

大陰陽線が出現+上昇中・下降中での集計結果

 

大陰陽線が出現した場所が上昇中の局面か、下降中の局面化でパターン分けし、その後の推移がどうなったかの結果です。

 

 

その後

←上昇中(高値圏)←  →下降中(安値圏)→

全体数

陽線

上昇

8168

1470

1169

1155

1474

3677

17095

下降

12181

2385

1844

1972

2595

5777

26736

陰線

上昇

3803

1663

1422

1493

2090

9638

20102

下降

3541

1323

1012

1076

1384

5800

14134

 

単純に上昇数・下降数ではわかりづらいので、その株価の位置で出現した大陽線・大陰線の全体数に対して、どのくらいの確率で上昇・下降するかをパーセンテージで表したのが次の表です。

 

 

 

その後

←上昇中(高値圏)← →下降中(安値圏)→

全体数

陽線

上昇

40.1%

38.1%

38.8%

36.9%

36.2%

38.9%

17095

下降

59.9%

61.9%

61.2%

63.1%

63.8%

61.1%

26736

陰線

上昇

51.8%

55.7%

58.4%

58.1%

60.2%

62.4%

20102

下降

48.2%

44.3%

41.6%

41.9%

39.8%

37.6%

14134

 

 

解析方法①、②の結果でお伝えしたように、大陰陽線の出現した位置にかかわらず、大陽線の出現後約6割は下降し、大陰線の出現後約6割は上昇しています。

 

表からもわかるとおり、いずれの場合も安値圏での出現のほうが、その傾向が強いようです。特に陰線の場合は安値圏での出現になるにつれ、その後上昇に転ずる割合が多少大きくなっています。

 

結論として、大陽線・大陰線の出現場所によらず、解析方法①、②の結果に順ずることがいえます。

つまり、上昇中におおきな陰線を出したとしても、必ずしも暴落するわけではないということです。逆に、それまでのロウソク足の柱の平均が5倍程度なら、10日後に6割は上昇するということがいえます。

 

 

大陽線・大陰線出現後の株価は、どのくらい動く?

 

さて、最後に「どの程度上昇もしくは下降するか?」ということを見ていきましょう。解析方法の④です。
解析方法③と同様に大陽陰線の定義は平均の5倍以上としています。

 

 

      ←上昇中(高値圏)←←    →→下降中(安値圏)→
    陽線 陰線 陽線 陰線 陽線 陰線 陽線 陰線 陽線 陰線 陽線 陰線
  -20% 644 159 86 31 65 35 63 39 107 36 275 309
-20% -15% 903 196 174 57 95 43 125 36 170 53 351 340
-15% -10% 2077 467 382 134 271 86 317 104 367 133 848 693
-10% -5% 3915 963 759 389 610 238 658 263 902 381 1770 1529
-5% 0% 5289 2081 1125 842 898 767 916 771 1213 954 2932 3527
0% 5% 3227 1766 664 796 544 696 562 736 711 975 1736 3787
5% 10% 1914 970 332 438 267 406 277 394 373 548 903 2521
10% 15% 1053 465 167 214 137 161 146 186 176 284 428 1435
15% 20% 681 260 111 91 86 72 66 73 69 119 222 842
20%   1338 358 201 127 144 89 111 107 147 167 401 1064
合計 21041 7685 4001 3119 3117 2593 3241 2709 4235 3650 9866 16047

 

 

やはり数字の羅列ではわかりにくいので、その株価の位置で出現した陽線・陰線の総数に対してのパーセンテージで考えて見ましょう。
陽線と陰線を分けて別々の表にしています。

 

 

まずは陽線です。

 

陽線

←上昇中(高値圏)←←       →→下降中(安値圏)→

 

-20%

3.1%

2.1%

2.1%

1.9%

2.5%

2.8%

-20%

-15%

4.3%

4.3%

3.0%

3.9%

4.0%

3.6%

-15%

-10%

9.9%

9.5%

8.7%

9.8%

8.7%

8.6%

-10%

-5%

18.6%

19.0%

19.6%

20.3%

21.3%

17.9%

-5%

0%

25.1%

28.1%

28.8%

28.3%

28.6%

29.7%

0%

5%

15.3%

16.6%

17.5%

17.3%

16.8%

17.6%

5%

10%

9.1%

8.3%

8.6%

8.5%

8.8%

9.2%

10%

15%

5.0%

4.2%

4.4%

4.5%

4.2%

4.3%

15%

20%

3.2%

2.8%

2.8%

2.0%

1.6%

2.3%

20%

 

6.4%

5.0%

4.6%

3.4%

3.5%

4.1%

合計

100.0%

100.0%

100.0%

100.0%

100.0%

100.0%

 

 

 

次に陰線です。

陰線

←上昇中(高値圏)←←       →→下降中(安値圏)→

 

-20%

2.1%

1.0%

1.3%

1.4%

1.0%

1.9%

-20%

-15%

2.6%

1.8%

1.7%

1.3%

1.5%

2.1%

-15%

-10%

6.1%

4.3%

3.3%

3.8%

3.6%

4.3%

-10%

-5%

12.5%

12.5%

9.2%

9.7%

10.4%

9.5%

-5%

0%

27.1%

27.0%

29.6%

28.5%

26.1%

22.0%

0%

5%

23.0%

25.5%

26.8%

27.2%

26.7%

23.6%

5%

10%

12.6%

14.0%

15.7%

14.5%

15.0%

15.7%

10%

15%

6.1%

6.9%

6.2%

6.9%

7.8%

8.9%

15%

20%

3.4%

2.9%

2.8%

2.7%

3.3%

5.2%

20%

 

4.7%

4.1%

3.4%

3.9%

4.6%

6.6%

合計

100.0%

100.0%

100.0%

100.0%

100.0%

100.0%

 

 

陽線・陰線にかかわらず、やはり0%付近が多くなっているのがわかります。そして、損益率の絶対値が大きくなるにつれ、パーセンテージは低くなっていきます。

 

 

以上のことは当然といえば当然のことなのですが、前ページの二つの表を比較すると、つまり陽線と陰線を比較すると、次のことがわかります。

 

 

陽線の~-20%も陰線の~-20%も下降中(安値圏)になるにつれその割合は少なくなっているのに対し、20%~になると陽線ではその割合が減少していくのは変わらず、陰線では割合が増加しています。

 

つまり、大陽陰線が出現した場合、その後株価が下降するときは陽線・陰線いずれの場合も高値圏での出現のほうが値下がり率が大きいのに対し、その後株価が上昇する場合は、陽線の場合高値圏、陰線の場合安値圏での出現の方が値上がり率が高いということです。

 

 

 


○陽線の場合
高値圏での出現  値上がり率→ 大
値下がり率→ 小
安値圏での出現  値上がり率→ 大
値下がり率→ 小

 

○陰線の場合
高値圏での出現  値上がり率→ 大
値下がり率→ 小
安値圏での出現  値上がり率→ 小
値下がり率→ 大

 

 

 

 

さて、3つの解析を行い、その結果をお伝えしてきました。

今回の無料レポートで得られた結果を次のページに簡単にまとめてみました。

 

 

 

 

大陰線、大陽線が出た場合、その後の株価の推移は? 結論とまとめ

 

■結論・・・
○大陰陽線が出た場合、その出現から10日後の株価は
陽線→ 約60%の確率で下降
陰線→ 約60%の確率で上昇

 

つまり、例えば大陰陽線の定義を平均の5倍以上とすると、大陰線の出現で買い、10日後に売ると、それだけで理論的に勝率60%を確保できます。
○陽線→確率約60%で下降、陰線→確率約60%で上昇は、過去15日間の株価と比べて当日の株価が低いとその傾向は強いが、たとえ高値圏であっても、その傾向は変わらない。

 

 

○大陰陽線出現10日後の株価が出現時に比べどの程度上昇・下降するかは下記のように分類される。

 

・陽線の場合
高値圏での出現  その後値上がりした場合の値上がり率→ 大
その後値下がりした場合の値下がり率→ 小
安値圏での出現  その後値上がりした場合の値上がり率→ 大
その後値下がりした場合の値下がり率→ 小

 

・陰線の場合
高値圏での出現  その後値上がりした場合の値上がり率→ 大
その後値下がりした場合の値下がり率→ 小
安値圏での出現  その後値上がりした場合の値上がり率→ 小
その後値下がりした場合の値下がり率→ 大

 

 

■最後に・・・

 

今回のレポートは如何だったでしょうか。

今後も“他とはちょっと違った(ある意味マニアックな)”レポートを書いていこうと思っています。特にテクニカル分析で用いる指標や、今回のようにロウソク足について、色々と確率計算や売買検証を行っていくつもりです。

さて、ここまでは大陽線・大陰線について売買検証を行ってきました。

 

 

では、これで今回の検証を閉じたいと思います。

 

 

 

罫線談義一覧

(外部リンク)ロウソク足チャート(Wikipedia)

 

 

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